あまりに楽しくて、二人ともっと一緒にいたかった。
別れるのが本当に惜しかったが、別れ際に時間をかけるともっとつらくなるので、さっぱりした子を装った。
今度は、いつ会えるんだろうか。
ラフが紹介してくれたのは、従妹の高校生の女の子、ニュウだった。
三人で夕食をとる約束をしていたけれど、少し前に彼女に会えるという事で、五時に観光案内所の前で待ち合わせした。写真では実際よりファンキーな子に見えて、十以上年下の女の子にびびっていた私の様子を見かねて、彼女は仲良しの男の子を連れてきてくれた。
この子も本当にいい子で、二人の友情も素晴らしいものだと思った。
彼女のお勧めの店を教えてもらうことになっていたので、エスニック雑貨の店に入った。
最近、サルエルパンツがお気に入りらしい。好きな色は二色あって、緑と紫色なの、とも言っていた。
ここで彼女はラフの為のストールを買い、私は彼女に似合う大きめの黒いニット帽、彼女は私にブレスレットをプレゼントしてくれた。
六時前にラフとの合流場所に行くと、雪がちらついた日であまりに寒かったのか、彼は隣の焼き栗売りのおじさんから買って食べながら待っていた。一瞬で、二人の仲のよさが分かった。
栗をつまみながらカフェに入り、温かいチョコレート、マルコポーロ、なんちゃらかんちゃらオペラ、をそれぞれ頼んだ。
丁度、店内のスクリーンでは日本のファッションショーの様子が流れていて、それを見ながらちょっとした日本の話をした。
ニュウも、漫画を通して日本に興味を持ち、オタクな時期は卒業したものの来年にでも日本に行ってみたい、と言う。
いくつか日本語も覚えていて、とにかく覚えている言葉を全て披露してくれた。
ラフの覚えている日本語は、「あの~、そのトマトいくらですか」とか「バカヤロウ」とか、そんなかんじだ。
ただ、そんな
あまり頭のよくないラフも、ニュウの宿題をたまに手伝ってやるんだよ、と、かわいい妹にメロメロのお兄ちゃんという印象を受けた。
七時半に、マハラジャ、という予約していたインド料理のレストランに入った。
私たちが最初の客で、ターリーを三種類と、彼らは追加で前菜、私はラッシーを頼んだ。
とても人気の店で客の評価も高かったが、私たちは食の好みが合うのか(?)なかなか手が進まなかった。
と、もてあまして周りを見渡すと・・・一席挟んで隣のグループに、なんとマクがいた(笑)!!
彼が、今夜同僚たちと同じ町にいるのは知っていたのだが、大きくない町とはいえレストランの数は相当なもので、
ラフは「もしや、気になって後を付けて来たんじゃないか!?」と本気で疑っていた。
マクが私たちの席に寄ってきて短い挨拶を交わし、とにかく私が後でマクのグループに合流することになった。
あんなに驚いたのはいつぶりだろう。
ようやく平静を取り戻した私たち三人は、話も更に盛り上がり、ニュウは私のカメラを取り上げて暴走し始め(写真も彼女撮影)、この安いレストランに来ているスノッブな他のお客からは白い目で見られていたが、私は、そんなのもうどうでもよかった。
キャメロンディアスを地でいくようなとても魅力的な彼女と大好きな友達がいて、その二人が、私の知る”従兄妹”という関係以上に本当に仲が良くて、こちらまで幸せな気分にならない訳がなかった。
ラフの車に荷物を置いていた私は、店を出ると二人と共に車に戻り、マクに合流するために歩いて数分の距離を、車で
10分以上かけてもう一度店まで送ってくれるというお言葉に甘え、最後の最後まで楽しい時間を過ごし、さっきまでいた店に一人戻った。